主演:ダニエル・ブリュール
カトリーン・サーズ
監督:ヴォルフガング・ベッカー
お気に入り度:★★★★★★★★★☆(10点中/9点) <ひとことコメント>
シリアスなテーマをコミカルでシニカルに描いた傑作。
感動押し付け的な作品ではないのに、息子(主人公)の行動と成長に
清々しい感動を覚えました。時代はベルリンの壁崩壊前後。
父親が東ドイツへ亡命し、母親はそれが原因で共産主義に傾倒していく。
時代の流れからベルリンの壁は崩壊してしまうが、まさにそのとき
母親は心臓発作で倒れ、昏睡状態にあったため、意識が戻ったときも
ベルリンの壁、共産主義が崩壊してしまったことを知らなかった。
母親の主治医から今度同じショックを与えてしまったら、母親は
ショックで死んでしまうと診断され、主人公である息子は
ベルリンの壁が崩壊したことを隠そうとする・・・
というようなストーリーです。
全体の流れとしては、重苦しい感じではなく、軽いノリでコミカルに
描いていますが、ただのコメディ映画ではなく、母親にショックを
与えまいとする息子のひたむきさに、清々しい感動を感じました。
↓以下ネタバレ(反転させています)
最後の母親の一言、「本当にすばらしい」というシーンが印象的です。
ストーリーの構成からいくと、息子が作った架空の共産主義像を
単純に「すばらしい」と言ったのか、それとも、母親のことを思い
不器用ながらも精一杯に母親の理想とする共産主義像を作ろうとした
息子の行動に対して「すばらしい」と言ったのか、どちらにも取れますが
ここはやはり息子の行動、成長に対して「すばらしい」ということでしょう。
この演出に、ジーンときました。押し付けがましい感動ものは苦手ですが、こういう作品は大好きです。