ファイア&アックス ★★★★☆ ゲーム紹介 2014年12月17日
「厳しいですが、これが暗黒時代のヨーロッパです」(ルールブックより)

<基本情報>
【 タイトル 】 ファイア&アックス(原題:Fire & Axe - A Viking Saga)
【 作 者 】 スティーブ・ケンダル【プレイ人数】 3~5人【プレイ時間】 90分【 対象年齢 】 12歳以上【受賞歴など】 特になし【入手・プレイ状況】 ネットで購入【個人評価(4人プレイ)】 ★★★★☆
タイトルとパッケージから漂う男臭さが気に入り、ずっと欲しかったものをようやく入手。
カードの日本語化も終ったのでようやく遊べましたが、なかなか面白かったです。
結構な大箱でボードもデカく、フィギュア駒やカードもそれなりにあるため、始めるのが
大変かなと思いましたが、ルールは意外とシンプル。「安全航海日」を超えたときの
ペナルティが少しややこしいかなと思ったぐらいです。それも覚えれば簡単ですが。
得点方法も複数ありここも心配点でしたが、これも思いのほか分かりやすいもの
ばかりで特に困ることもなく、また、当面の目標が「サーガカード」により明確になって
いるため、慣れればサクサク進む感じでした。
一方少し気になる点としては、町の襲撃や移民など得点の中心になる部分で
ダイス振りがあるため運の要素が小さくない所。90分~120分級のゲームで
ダイス運がある程度幅を利かすゲームは好みが分かれそうです。
また、大きな得点源である「サーガの達成」(ミッションみたいなもの)についても
そのダイス運によって他のプレイヤーに最後の最後で掻っ攫われることがあり
ある意味理不尽な部分も結構大きいです。
ルールブックではこれを「暗黒時代のヨーロッパだから仕方ない」という感じで
扱っていたので、ゲーム中理不尽に感じても「暗黒時代のヨーロッパやからねw」
と半ばやけになって笑うことにしていました(笑)
もちろん、ダイスの出目を有利に傾けるためのプレイヤーの働きかけも可能な
ゲームですので、無謀すぎるチャレンジをしなければ問題ない範囲と思いましたが…
また、タイトルやパッケージイラストの男臭さ、ルールブックでプレイヤーのことを
「バイキング」と呼んだり、ラウンドのことを「サーガ」と呼ぶような香ばしさなどから
ガチムチで戦争中心の「熱い男系ゲーム」かと思ったのですが、交易や移民が重要な
意外と普通のゲームだったりした点も、ある意味ではネガティブな要素なのかなと(笑)。
町の襲撃もあることはあるのですが、割と淡白ですし。
いろいろと書きましたが個人的にはとても楽しめました。初プレイ2時間かかりましたが
ずっと面白かったです。フィギュア駒もいい感じだし、ロングボート駒もかっこいいし、
ゲームボードのイラストも美麗だし、かなりお気に入りのゲームになりました。
適正人数は4人ですかね。3人だと物足りなさそうで、5人だと待ち時間が長いかも。
まぁ5人はやってみたくもあります。
【ゲーム内容】古のヨーロッパ北方民族「バイキング」の生活をテーマにしたゲームで、バイキングになった
プレイヤーはヨーロッパ各地の町を襲撃したり、移民したり、交易したりして名声を高めます。
ゲームボードやカード類を準備し、プレイヤーカラーの「ロングボート」と「乗組員」のコマ、
そしてルーンカード1枚を受け取ったらゲームスタートです。
バイキング(このゲームではプレイヤーのことを「バイキング」と呼びます)が
行動できる範囲は北海、大西洋、地中海と東欧の水路でありゲームボードに
描かれている部分となります。
そしてこれらはおおよその方向で北・南・東・西の海に分かれており、この区別も
ボードゲーム上にNorth、South、East、Westという風に書かれています。
これらはバイキングの移動手段であるロングボートの移動日数に影響を与える
区分となっており、南の穏やかな海ほど移動しやすく、北の厳しい海ほど移動
しにくくなっています。

ヨーロッパの各地には海や川に面した港があり、価値がある町には町のフィギュアがあります。
そして港は3つが同色で隣接しているもの(これを地域といいます)と、灰色の各単独のものが
あります。また、それぞれの港には2~5の価値が書かれています。これは襲撃や移民の際の
防御力のようなものであり、交易の際に受け取れる点数価値でもあります。

ゲームは各バイキングが・・・いや、もうややこしいのでプレイヤーに戻しますw
各プレイヤーは手番ごとに7日という行動範囲の中で、好きな組み合わせでアクションを行えます。
手番で行えるアクションは以下の通りです。
【 通常のアクション 】・・・原則1アクションにつき1日要する・乗組員か品物をロングボートに積む =1つ積むごとに1日経過する。
・ルーンカードを1枚引く =1枚引くごとに1日経過する。所持上限は3枚まで。
・自分のロングボートを隣接している海、川、港へ移動する =1マスごとに1日経過する。
【 ”タスク”という3種の行動 】・・・日数を要しない・交易 =港で品物を勝利点に変える
・襲撃 =町を攻撃し、町の点数(勝利点)を得る
・移民 =乗組員を港に降ろし、移民することで勝利点を得る(これはゲーム終了後に計算)
【 その他の行動 】・・・日数を要しない・ルーンカードを使用する・Wintering boxへの移動・Wintering boxから母港(Sweden、Norway、Denmark)のいずれかに移動なお、日数を消費するアクションは、ゲームボード中央にある日数カウンターで
チェックしながら進めていきます。

これらがゲームの流れの中でどのように行われるかというと・・・
ある手番の例でご説明しますね。
(1)まず、乗組員や品物の積み込み等の出航前準備をWintering boxで行います (日数を消費)

なお、乗組員や品物が積める上限は序盤(第1サーガ)では5つ、中盤(第2サーガ)では6つ
終盤(第3サーガ)では7つまでとなっています。
また、ロングボートには必ず乗組員が1人は乗っていなければいけません。
品物は載せなくても良いですが、無人では船は動きませんので乗組員は必須です。
(出航後なんらかの事情で乗組員が0になったら強制的にWintering boxに戻されます)
なお、いきなりサーガという言葉が出てきたのでなんじゃこりゃと思うと思いますので少し補足を。
このゲームでは、ゲームの序盤、中盤、終盤を世代という概念でとらえており、これらの区分を
第1サーガ、第2サーガ、第3サーガと呼んでいます。
うーん、この辺の一本筋が通ったようなクサさ、嫌いじゃないですw
(2)そして次に出航場所である母港のうち、どれかに移動します (日数消費なし)

各港は1つのロングボートしか入ることができません(つまり同時に2つは不可)ですが
3つの母港とWintering boxはその制限がありません。特殊な場所といえますね。
また、母港では日数を消費してルーンカードを引くことができます。
(3)手番が許す限り航海をします。海や川を進み、港に入ります (日数を消費)
航海を行うとき、自分のロングボートをゲームボード上で進めます。

このとき、ゲームボード上に示されている「安全航海日数」(航海難易度)に注意します。
少しややこしいですが、安全航海日数を超えた日数の航海には危険が伴うということで
危険航海のペナルティとして危険航海日数に応じ、乗組員や品物を失います。
例えばこの写真でいうと、南の海が基本設定日数が6日、タイルによる補正で-1日と
なっていることから、安全航海日数は5日ということになります。
(この-1~+1までの補正を行うタイルを「風ダイヤル」といいます。まぁ風向きですね。)
この場合、7日ある日数をすべて航海に費やしたとすると、7日のうち5日は安全航海
ということで何のペナルティもありませんが、超えた2日間が危険航海ということになり
危険航海ペナルティに示されている分の乗組員か品物を失う、という感じです。
なお、2日の危険航海では乗組員か品物どちらか1つを失うことになります。

このほか、危険日数ペナルティの下には後の交易を行う際に点数を調整するための
現在の人気商品が示されています。
ついでに写真に写っちゃったので一応ここで紹介しておきました。
(4)港で”タスク”=交易や襲撃、移民を行います (日数消費なし)
港では3種のタスクのうちどれかを行うことができます。
1手番では各港ごとに1種類しか行えません。
交易は、ロングボートに品物を積んでいて、港にまだ品物が置かれていなければ行えます。
ただし、同じ地域内には同種の品物を交易することはできません。この場合は、
まだその地域内に置かれていない種類の品物で行うことになります。
交易可能な場合、その港に品物を置きます。そしてその港の価値分、勝利点を得ます。
もしその品物が今人気のある品物だったら、+2点もらえます。
(ゲームボード左下、航海難易度の下に置いてあったアレです)
なお、人気の品物はルーンカードの効果で入れ替わる場合があります。

次に襲撃の場合です。
襲撃は、まだ襲撃されていない、つまり町フィギュアがある港で行えます。
襲撃を行う場合、ロングボートの乗組員1人につき1つのダイスを振れます。
ダイスを振り、出た目がその町のある港の価値を上回っていれば襲撃成功です。
成功したら町フィギュアを取り、裏の点数をみてその分の点数を得ます。
町フィギュアはゲーム終了時にその所持数で得点チャンスがありまぁす!
もし、ダイスの目が港の価値以下だった場合、襲撃は失敗です。乗組員フィギュアを
1つ失います。襲撃は乗組員フィギュアがロングボートにあれば合計3個までダイスを
振ることができます。もちろん、失敗したら乗組員を失い続けますが。。。
次の「移民」と違うところは、ダイスを1つずつ振り、都度成否判定をするところです。

そして、最後に移民の場合です。
移民の場合、まずその港または地域に、町フィギュアがないことが前提です。
もともと町フィギュアのない港か、または襲撃により取り除かれている場合が
これにあたります。つまり町がある港・地域には移民はできない、ということです。
また、襲撃のときのようにロングボートに乗組員が必要です。
襲撃のように、ロングボートに乗っている乗組員フィギュア1個につき
1つのダイスを振って港の価値と比べ、成否を港の価値を超えているか
どうかで判断する部分は同じです。最大3個までダイスを振れるのも同じです。
襲撃と違うところは、襲撃のように1つずつ順番に振るのではなく、振る個数を
決めたら全て同時に振るというところです。
そして振ったダイスの目のうち、1個以上がその港の価値を超えていた場合
移民は成功したことになり乗組員コマ1個をロングボートから港へ移します。
振ったダイス目のうち、その港の価値以下のダイスの目1個についき
乗組員コマ1個を失います。
移民は1つの港につき1つまでしか行えず、1つの港に2個以上の乗組員コマを
置くことはできませんのでご注意ください。
また、移民はその時点では得点になりません。
ゲーム終了時に、単独の港はその港の価値分の点数を、そして地域ごとの港は
プレイヤーごとにその地域に移民した数を数え、1つならそのままの価値分の点数、
2つなら価値×2の点数、3つなら価値×3の点数、という感じで得点が入ります。
つまり、できる限り地域を独占するほうがおいしいわけです。

なお、襲撃の場合も移民の場合も、乗組員がたくさん載っていても必ずしも
最大数のダイスを振る必要はありません。振れば振るほど乗組員を失うという
リスクも高くなるため、そのリスクを回避するために任意の数で行えるわけです。
(5)必要に応じてルーンカードを使います(日数消費なし)
ルーンカードは母港にいる場合を除き、原則手番の中であれば
いつでも、何枚でも使えます。
ただし、ルーンカードの説明書きに使うタイミングが記載されている場合は
その内容に従います。
また、使うかわりに捨てることもできます。
ルーンカードを使用した場合、捨てた場合、どちらの場合でも、公開難易度の
ところにある風ダイヤルを90度回転ずつ回転させ、難易度の調整を行えます。
(6)そして自分の手番を終えます。そこに留まり、次の手番でさらに冒険を続けるか、または、
手番の最後にWintering boxに戻ります。(日数消費なし)
Wintering boxに任意で移動するならば、乗組員ひとりだけをロングボートに残せます。
他の乗組員や品物はロングボートから取り除きます。
一方、乗組員がいなくなったために強制的に戻されるときは乗組員を含め全てを
取り除きます。この場合、手番もそこで強制的に終了します。
と、このような感じで手番は行われていきます。
もちろん、1手番では7日間(7アクションポイントといえます)しかないので、
上記のすべてが1回の手番で行えるわけではなく、乗組員や品物の積み込みだけで
手番が終了してしまう場合もあれば、航海だけで手番が終了してしまう場合もあります。
おおよそのゲームの流れなんだなとご理解ください。
ところで、このゲームには忘れてはいけない「サーガカード」という大きな目的があります。
Fire & Axe a VIKING SAGA というぐらいですから、サーガのゲームなのです。
サーガカードはゲームボードの中央付近に3つ並んで置かれています。
で、サーガカードっていったいなんなのってことですが、要するにミッションみたいなもんです。
ですが暗黒時代のヨーロッパではミッションと言わず、もっと伝説的な、語り継がれる的な
サーガカードという呼び方をしているわけです。
う~ん、またもやクサいですなぁ。嫌いじゃないw
サーガカードは裏面が第1~第3のサーガ(世代)に分かれており、あとのものが登場すると
その世代も進んだということになります。

そしてサーガカードには表面に条件が書かれています。
大きな条件は「交易」「襲撃」「移民」の3つ。
そして小さい条件は「場所」
つまり、「どこ」で、「なにかを完了すれば」、サーガカード達成なわけです。
たとえば、下の写真の左はしのものだと
「Settle (移民)」(大条件)、「緑の3つの港」(小条件)、となっているわけです。
※港についても具体的に場所名が書かれていますが、写真が小さいので「緑」としています。
この場合、この3か所の港に移民が完了した状態を作ったプレイヤーがサーガカードを
達成したことになります。途中経過でどれだけ貢献していても、それは関係ありません。
厳しいですが、これが暗黒時代のヨーロッパですそして、サーガカードを達成したプレイヤーはゲームボードからこれを受け取ります。
受け取ったサーガカードはゲーム終了時に得点計算されます。

サーガカードには先ほどの条件等以外に3つある「母港」のうち1つの名前が書かれています。
ゲーム終了時点で、それぞれの母港ごとにサーガカードを持っている枚数が多い上位2位までに
得点が与えられます。
1位だったプレイヤーにはサーガカード1枚ごとに10点を。
2位だったプレイヤーにはサーガカード1枚ごとに5点をです。
たとえば下の例ですと、
デンマークは5枚持っていて1位でした。10点×5枚=50点。
ノルウェーは1枚持っていて2位でした。5点×1枚=5点。
という感じです。

以上、だいたいの流れと得点の仕方をご説明させてもらいました。
なお、すでに説明していますが、ゲーム中に入る得点は交易と襲撃。
ゲーム終了時点で入る得点は、移民とサーガカードです。
また、これ以外に、襲撃数ナンバー1のプレイヤーにはボーナス点が入ります。
これらを全部合計してもっとも得点が多かったプレイヤーが勝者となるわけです。
先日、エビさん(暗黒時代のヨーロッパという響きが好き)、まっきゃん、
シュウさん(最近ボドゲ覚えた)、僕やおきんの4人で初めて遊びましたが、
それぞれ特徴があって面白かったです。
エビさんはダイス目があまり良くなくてサーガカード達成が中途半端になることが多く
それを僕やおきんが横から掻っ攫って得点を伸ばし、ボードゲーム初心者のシュウさんが
襲撃で得点を重ねてヨーロッパを火の海にし、まっきゃんはひたすら東とか北とか、
難易度の高い海を何も考えずに(笑)進む、という感じでした。
ゲーム終了時の様子で、結局最後の最後で北の海の1地域独占が効いて、まっきゃんが165点で勝利。
僕やおきんはサーガカードの得点で追いかけるも少し及ばず156点で2位。
シュウさんはヨーロッパを縦横無尽に駆け巡って襲撃しまくり、ボーナスも加えて148点。
エビさんはうまくサーガカードの達成ができず、サーガカードで点数が伸ばせず112点。
というような内容でした。
いろいろと得点の方法もあり、少し慣れが必要ですが面白かったです。
ただ、感想でも書いたように少しダイス運は高めなのでご注意を。
今度は勝ちたいなぁ。