秦 (しん) ★★★★☆ ゲーム紹介 2013年5月22日
簡単ルールでヒリヒリする勝負を楽しめる、お手軽傑作陣取りゲーム

<基本情報>
【 タイトル 】 秦(原題:QIN)
【 作 者 】 ライナー・クニツィア【プレイ人数】 2~4人【プレイ時間】 30分【 対象年齢 】 8歳以上【受賞歴など】 特になし【入手・プレイ状況】 で購入【個人評価(2人プレイ)】 ★★★★☆
さすがクニツィア先生、シンプルかつ遊びごたえのある傑作でした。
基本的には1手番に1つタイルを置くだけなのですが、どこに置くかの選択肢が
悩ましく、遊びごたえがあり面白かったです。
手番でやれること、配置のルール、配置後の処理、ゲームの終了・勝敗条件等
基本のルールはとてもシンプルなのでルール説明(インスト)は5分ほど。
1ゲームも20~30分なので「もう1回!」と繰り返し遊べるのも良いですね。
ただちょっと気になった点としては、先手番の方が僅差で勝つ、ということが
多かったように感じところです(たまたまなのかもしれませんけど…)。
この点は、他の方もされていたように先手後手を入れ替えて合計2ゲームを
することでバランスをとりました。2人プレイのときはそういう工夫も良いと
思います。(うちでは2ゲームトータルで勝敗を決めるようにしました)
2人プレイでも十分面白いゲームだと思いますので、うちでは定番になりそうです!
【ゲーム内容】秦は中国の紀元前8世紀から3世紀年の、春秋戦国時代をテーマにしたゲームのです。
タイルを置くことで自分の郡・県を作ったり、村を支配したりして、自分の仏塔を
相手よりも多く建てるようにしていきます。ベストは自分の仏塔を全て建てきること。
タイルの配置によっては自分の領土が吸収合併されてしまったり、村の支配権が
相手に渡ってしまったり、ということもあるので「どこに置くか」が悩ましいです。
ゲームに使用されるのはゲームボード、タイル(長方形)、仏塔コマです。
下の写真で見てもらうとわかりやすいですが、ゲームボードは正方形のマス目で
区切られており、ところどころに1マス~2マス分の村が描かれています。
(村は灰色っぽい壁で囲われた建物が描かれているものです)
あと真ん中あたりに1マス分の黄色、赤色、青色のマスが描かれていますが
これはスタート時にタイルを配置するための起点になる場所です。
※なおゲームボードは表裏両面で遊べる仕様になっています。今回の説明では
基本的な「鳳凰」の面を使っています。
この画像はiPad版の画像です。説明用にはちょうどよかったので・・・で、手番では3つある手札タイルのうちどれか1つを配置ルールに従って配置します。
配置ルールは、
・タイルの1辺が、すでに配置されているタイル(又は起点)に最低でも1辺は接していること
(正方形の1マス分の長さで接していればOKです。また色は同色でなくてもOkです。)
・ゲームボードに描かれている村や起点のマス、他のタイルなどに重ならないこと
・ゲームボードのマス目に併せて配置すること(外周から飛び出すのもNG)



そして、配置されたタイルによって仏塔の建設などを処理していきます。
基本的には手元の仏塔を出来る限り減らした方が勝者ですので、仏塔を置ける際の
ルールをしっかりと理解してタイルを配置していきたいですね。
仏塔はプレイヤーごとに決められた色、個数を持っています。まず、同色のタイルが2つ以上になった場合、これを郡(ぐん)と呼びます。
そしてこの郡には自分の手元から1つの仏塔が置かれます。
郡を作ったプレイヤーがその郡の支配者となり自分の仏塔ひとつを置きます。
(下の写真の場合は、紫プレイヤーが黄色2マスの郡を完成させました)
この場合、今置いたタイルがどのプレイヤーなのかが重要であって、もともと置いてある
タイルは誰が置いていても関係ありません。

で、手番が進んでタイルを配置しているうちに郡が5マス以上の大きさになることが
あります。この場合はこの郡は「県」に成長します。この場合、すでに置かれていた
仏塔の上にもう1つ自分の手元から仏塔を重ね、2階建ての仏塔にします。
※なお、「県になる」ことは自分の手番にタイルを配置した場合の他、後述の合併によって
5マス以上の大きさになった場合や、他のプレイヤーのタイル配置によって5マス以上
になった場合などにも起こります。
そして郡または県が村に接したときに村にも仏塔が置かれます。

基本的に自分の仏塔を配置するルールの基本は以上3つとなっています。
んで、ここからはちょっと特殊な処理ですが、実はここからの処理がゲームの肝です。
特殊な処理は以下の2つです。
・郡の合併吸収
・村の支配権者の変更まず、郡の合併吸収についてですが、これはより大きな郡や県とそれよりも小さな郡が
接続された際に、小さな方の郡は吸収されてしまう、というルールです。
誰がそのタイルを置いたか、は問題ではなく、郡の大小で決まります。
(なお、5マス以上になった「県」は合併されたり吸収されたりしません)
吸収されてしまった方の仏塔はその色のプレイヤーの手元(ストック)に戻されます。
つぎに村の支配者の変更ですが、これはその村に接続されている「仏塔の数」の多さが
変わることによって起こります。こちらは県や郡の大きさではなく、仏塔の数である点に
注意が必要です。
同数の場合は元の支配者のままですが、上回る場合は上回った方へ移ることになります。
支配を失った方の仏塔はその色のプレイヤーの手元(ストック)に戻されます。
・・・とりあえず両方を合わせた分かりやすい例がありましたので下の画像でご説明します。
下の画像の中央付近、青いタイルで作られている緑プレイヤーの県と紫プレイヤーの郡にご注目。
また、画像下部の村は、この時点で接続されているタイル上の仏塔の数が紫2、緑1で
紫の支配となっています。
接続されているとは辺で接していることを差し、紫プレイヤーは赤タイル上の仏塔1つと
青タイル上の仏塔1つで合計2つ、緑プレイヤーは黄色タイル上の仏塔1つ、です。
緑プレイヤーがこのような手を打ちました。

この合併によって、緑の県(5マス)と紫の郡(3マス)の大小比較で緑の勝ちとなり
紫の郡は緑の県に吸収されてしまいました。
さらに、村に接続している仏塔の数が変わりました。
合併吸収により緑プレイヤーの10マスの県(仏塔2つ)が村に接続されて、緑プレイヤーは
合計3つとなりました。一方、紫プレイヤーは仏塔1つがストックに戻された結果によって
接続されている仏塔は赤タイル上の1つとなり、この村の支配を失い、村に置かれていた
仏塔を手元に戻します。緑プレイヤーは新たな村の支配者として緑色の仏塔を村に置きます。

と、こんな感じで吸収合併や村の支配者変更を繰り返しながら、手元の仏塔が減ったり増えたり。
ここがこのゲームの面白いところなんですよね~!
後半になると入り乱れていろいろな合併や村の支配変更が起こりえますので
しっかりと盤面を把握することが重要です。
でも、なれてくればそれほど難しいことはありませんのでご安心を。

そして、ゲーム終了のタイミングと勝敗決定は以下の2つ。
・いずれかのプレイヤーが手元の仏塔を全て置ききったとき 全て仏塔を使い切ったプレイヤーが勝者となります。
・もうゲームボード上にタイルを置けなくなったとき その時点で最も手元の仏塔が少なかったプレイヤーが勝者となります。
ゲーム終盤の様子。このあと紫のまっきゃんが最後の仏塔を置き、まっきゃんの勝利に!シンプルルール、悩ましく、短時間、と三拍子そろったとても面白いゲームでした!