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チューブに乗って ★★★☆☆ ゲーム紹介 2012年7月17日
お客様、こちらの路線へ!ロンドンの地下鉄路線、繋いで、運んで。

<基本情報>
【 タイトル 】 チューブに乗って(原題:On the Underground)
【 作 者 】 セバスチャン・ブリーズデル【プレイ人数】 2~5人【プレイ時間】 90分【 対象年齢 】 10歳以上(メーカー公式では7歳以上)【受賞歴など】 特になし【入手・プレイ状況】 ゲームストア・バネストで購入【個人評価(2人プレイ)】 ★★★☆☆
得点方法が複数有り、相手の出方を考えながらパズル的に路線を作っていくのは
なかなか面白いです。ロンドン・チューブ(地下鉄)の地図の再現性も割と高いので
ロンドン大好き人間の自分としては嬉しい限りです。
一方、なかなか多くの人にオススメしにくい理由が、重要な得点源である「乗客」の
処理の部分。求められている条件は「徒歩最短」「路線最少」の2つなのですが、
手番ごとに毎回変わっていくゲームボード上で確認をすることになり結構大変です。
必然、その乗客移動を見越した路線の配置を毎回の手番で行うことになりますので
確認作業を含めて長考してしまいがちになることも多く感じました。
上記のように「2条件からはじき出される1つのルート」を瞬時にはじき出すのは
コンピューターが得意な部分でしょうから、アナログゲームで人間が見極めるには
ちょっと慣れが必要だと思います。
同じ鉄道がテーマの「チケット・トゥ・ライド」では溜め込んだカードを使って
どーん!と線路を引くような派手さがありますが、こちらは先を見越してじわじわ
路線を伸ばしていく「渋い」楽しみがあります。先述のように得点方法も複数あり
なかなか思考性の高いよくできたゲームですので、鉄道ゲームでも目先を変えたい
という方なんかにはオススメのゲームだと思いますよ!
【ゲーム内容】日本語タイトルにある「チューブ」とは地下鉄のトンネル形状に由来する地下鉄の愛称です。
(英語タイトルにある「Underground」も同じくロンドン地下鉄の呼び名です。)
※記事の最後に写真を載せていますので、よろしければご覧くださいねほとんどの鉄道ゲームがそうであるように、基本的には自分の線路を伸ばしていき、
目的地などとの接続によって得点などを獲得するゲームです。
ゲームボードを一見すると同じ鉄道がテーマでご存知の方も多い「チケット・トゥ・ライド」
に似ているように見えますが、線路の引きかたや得点方法など違う箇所はかなり多いです。
例えば線路の配置についてチケット・トゥ・ライドでは手番ごとに好きな場所を選んで
配置していけるのですが、このゲームでは原則「現在ある路線を伸ばす形で」になります。
また、ある場所からある場所までの路線の繋がりを示す「目的地カード」はどちらの
ゲームにもあるのですが、チケット・トゥ・ライドではプレイヤーごとに自分の所持する
目的地カードの路線が完了すれば得点になる、という、プレイヤーごとのものなのに対し
このゲームではゲームシステム側のキーマンである「乗客」が支配される行動基準であり
全プレイヤーに達成の可能性があります。
その他に多様な得点方法であったり、手番での線路引きがアクションポイント制に近い
ものであったりと、似ているのは一見した見た目だけかな~と思います。
あと、このゲームでは「
線路」と「
路線」という言葉が登場します。
字をひっくり返しただけなのでルールブックを読んでいても誤認することがあるのですが
根本的に違うことを指していますので、ここは十分注意をしてください。
線路・・・ゲーム内では木製の長方形コマ1つのこと。線路コマとでも言うべきもの。
路線・・・同色の線路コマの繋がり全体のこと。
まぁ日本語の意味そのままと思えばわかる方は多いと思うのですが、両方の言葉が頻繁に
出てくるルールブックを読んでいると、混乱することがありましたので一応書きました。
以上、違いなどを少し頭に置きながら、ゲームの内容説明をしますね。
ゲームの目的は優秀な地下鉄網を作り、乗客の移動や特定駅への路線の接続などで
最も多くの勝利点を獲得することです。
ゲームボード上に乗客コマや、得点条件のひとつである「接続マーカー」の配置
乗客の移動目的地を表示している目的地カードの準備などを行います。
人数ごとに自分が担当する線路の色が決まっているので、それを受け取ります。
準備が揃ったらゲーム開始です。
まず手番でできることは「4つまで
線路を置く」です。
線路を引く(線路コマを置く)ことについて大きなルールがあります。
ある色の線路を置く際に、すでにその色の線路が置かれている(=路線が存在する)場合は、
その末端から伸ばすかたちでしか置けません。飛び石のような置き方はできないのです。
「末端を伸ばすかたち」でということは、原則的には分岐もできません。
ただし分岐トークンを支払うことで分岐させることはできます。
分岐トークンは線路を置く代わりにストックから受け取ったり、ターミナル駅へ路線が接続
されたときのボーナスとして受け取ったりして入手します。
手番で線路引きの代わりに受け取る場合、線路1本につき1つ受け取れます。
ですので線路引きと分岐トークン受け取りを4アクションポイントのうちで行える感じです。
行き止まりにならないよう自分の路線を広い範囲で引いていくことが重要です。
路線を分岐させるには分岐トークン2つが必要です。ご使用は計画的に。線路を引くアクションが終わると、乗客が目的地カードの指定先に移動します。
目的地が分かりやすいよう、目的地カードに示された場所には目的地コマを置いておきます。
目的地カードは常に4枚が表向けられていますが、その中からまず特急駅(金色)1箇所、
次に通常駅(白色)1箇所という順番で移動をします。つまり実際に使われるのは2つの
目的地カードのみということになります。

で、その選ばれる目的地カードの判定が少々やっかいな「乗客移動のルール」なのです。
ごく簡単にいうと乗客コマは
「最も歩かなくていい(=
線路マスの少ない)」ルート
「最も
路線の少ない(=乗り継ぎの少ない)」ルート を選ぶのです。
ですから、実際の線路の数=距離は関係ないのです。時間優先よりも「楽さ」優先ですね。
※もともとゲームについていた各コマが見にくかったので下の写真では代用しています。
乗客コマが緑色(「テーベの東」のコマ)、目的地コマがクロ(「カルカソンヌ」のコマ)
乗客は常にプレイヤーの意思ではなく、上記のルールに従いシステマチックに動きます。
その移動結果により、乗客が使用した路線の使用者には勝利点が入ります。
得点は、あくまでも乗客が移動に使用した「
路線ごとに1勝利点」ですのでご注意を。
線路の数ではありません。
移動先へ乗客コマを移動させ、そこにあった目的地コマを取り除きます。
適用された(乗客の移動先になった)目的地カードも取り除きます。
続けて乗客が移動する場所があるならその移動を完了させ、その後目的地カードを
4枚になるように補充し、その目的地に目的地コマを置いて分かるようにします。
毎手番、駅から駅までの路線の完成で刻一刻と「最適ルート」が変わってきますので
他のプレイヤーの路線状況や目的カードの状況をしっかりと把握する必要があります。
ここがこのゲームの面白いところでもあるのですが、チェックにコツと手間が必要という
デメリットでもありますので、好みの分かれるところかも知れませんね。
なお、得点の方法としては今説明をした乗客の移動のほかに、特定の駅への路線の接続や
同じ種類の接続マーカーが置かれている駅同士の接続などの方法があります。
以上が大体の手番の流れです。そして次のプレイヤーに手番が移ります。
ゲーム終了のタイミングは、目的地カードの山札がなくなったときです。
乗客コマは取り除き、スタートプレイヤーの前のプレイヤーまでゲームを続けます。
乗客コマが取り除かれていますので、線路の配置だけができることになります。
勝利点が最も多いプレイヤーが勝利となります。
ゲーム終盤の様子。乗客の移動のコツをつかみ、同じぐらい慣れたプレイヤーで遊ぶことが楽しむための
前提条件かなと思います(まぁどのゲームもそう言えると思いますが・・・)。
実際のロンドンの地下鉄も網の目のように張り巡らされているので、乗客の移動ロジックは
分からないでもないですね(笑)。ロンドン好きならぜひ遊ばれてはいかがでしょうか。
ロンドンの地下鉄(the Tube / the Underground)
トンネル形状はチューブを半分に切ったような半円形に近いです。
そのトンネル形状に合わせて、車両の形状も丸みを帯びています。 → こちらも是非!(記事:「ロンドン旅行(その4) ロンドンの地下鉄」)