『99%の誘拐』
作者:岡嶋二人 集英社文庫
お気に入り度:★★★☆☆
<あらすじ>
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには8年前、息子をさらわれたときの記憶が書かれていた。そして12年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第12回吉川英治文学新人賞受賞作!(文庫本 裏表紙より)
<感想など>
刊行が1988年とのことで、17年も前(現在2005年)の作品だということに驚きます。細かいところでは、時代を感じさせる部分もありますが、ハイテク(当時のハイテクだったのでしょう)を駆使して展開するストーリーには古臭さは感じず、むしろリアルな未来である今読むからこそ一つのエンターテイメントとして楽しめる気がします。
ストーリーの展開に関してはとてもスリリングで一気に読めました。ただ、様々なハイテク(当時のハイテクってことですよw)を使って誘拐事件が進行する設定やトリックのなどは、リアリティという部分では期待しないほうが良いと思います。あくまでもスリル&サスペンス的なエンターテイメント割り切って読むほうが楽しめると思います。
蛇足ですが、ストーリーそのものは本来は映像化に向いている展開なのでしょうけど、トリックの性質からは映像化に向いているとは言えず、決して映像化してほしくない作品です。また、もしすでにされているのであれば、多分観ると後悔する類の映画になっていそうな気がします。