『ある閉ざされた雪の山荘で』
作者:東野圭吾 講談社文庫
お気に入り度:★★★★★☆☆☆☆☆(10点中/5点)<あらすじ>
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。
豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、一人また一人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?
驚愕の終幕が読者を待っている!(文庫版 裏表紙より)
<感想など>
単なる「閉ざされた雪の山荘で起こる犯人探しモノ」ではなく、物語の中でも「閉ざされた雪の山荘」というのがあくまでも舞台設定であるという、変わったタイプの物語です。物語の中で不自然でない程度に、ペンション外へ出られない様、心理的なブレーキを掛けさせている設定は説得力というところでギリギリセーフかどうかというところでしょうか。
ストーリーの本筋は物語の主人公たちと一緒に純粋に犯人探しをしながら読んでいけるので飽きはこない作品でした。適度に伏線があるため、余計な混乱がなく、かといって情報不足でもない感じです。
個人的には最終的な結論の部分でちょっと飛躍しているように感じられ、心地よくだまされた~というよりはちょっとシラけてしまった感じです。名探偵コナンや金田一少年の事件簿的な『ちょっとキビシイ』っていう感じですかね。
とはいえ、ネタバレの部分は伏せていますが、最後まで読んでいって伏線の部分に関してはフェアであると感じています。自分は犯人探しが苦手なので、あまりそういうのを気にせずストーリーを追っていくほうが多いのですが、この作品は犯人探しがてらじっくり読んでみるほうが面白いと思いますね。
↓以下ネタバレのため反転させています
ストーリー進行の中で場面転換がありますが、そこの部分の書き出しは最後に犯人がわかってから読むとなるほど、犯人からの視点だったんだなと分かります。
物語が舞台稽古のような感じで進んでいるため、そういう演出なのかなと思っていましたが、もっと単純に、視点そのものだったというのは『やられた!』って感じですね。ここは気持ちよくダマされました。