『顔に降りかかる雨』
作者:桐野夏生 講談社文庫お気に入り度:
★★★★☆

<あらすじ>
親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が、一億円を持って消えた。大金を預けた成瀬時男は、暴力団上層部につながる暗い過去を持っている。あらぬ疑いを受けた私(村野ミロ)は、成瀬と協力して解明に乗り出す。二転三転する事件の真相は? 女流ハードボイルド作家誕生の'93年度江戸川乱歩賞受賞作!(文庫本 裏表紙より)
<感想など>
はっきりいってタイトル買いですw なんとなく良い雰囲気のタイトルだったので手にとって見てみたら、江戸川乱歩賞受賞作とのことで、ぜひとも読んでみたいと思いました。(実は後で思い出したのですが以前にTVかなにかでタイトルを見たことがあり、そのときからタイトルには惹かれていたのでしたw)
全体に漂っているハードボイルドな雰囲気は、少し自分の趣味とは違うように感じました。どちらかというと人間臭さのある展開・雰囲気が好きなので、明らかに今までに読んできた小説とは違います。ストーリーもアンダーグラウンドな世界が物語の核心に絡んでくることもあり、読み手を選ぶ作品だと思います。
とはいえ、個人的には星4つと気に入った作品の一つです。妖しい雰囲気を全体に漂わせながら一人の消えた人間を追いかけていく過程の魅せ方や、追われる側の人間、それにかかわる登場人物、そして追う側の二人までもが皆それぞれ影の部分を持っている非現実的な展開には読む者を惹きつける魅力があると思います。